
2025年も7月に入り、いよいよ夏本番が近づいてきました。気温の上昇とともに、夏風邪の代表格である手足口病やヘルパンギーナの流行が本格化しています。また、引き続き百日咳の流行も続いており、お子さんのいるご家庭では注意が必要です。
今週も東京都から発表された最新の感染症情報(2025年第25週:6月16日~6月22日)をもとに、現在の流行状況と家庭でできる対策を分かりやすく解説します。
今週の感染症流行のポイント
- 手足口病・ヘルパンギーナ: 夏風邪の代表格であるこれらの感染症が、八王子市・町田市などの多摩地域を中心に増加傾向にあります。
- 百日咳: 年明けからの流行が続いており、特に学童期のお子さんを中心に感染が広がっています。咳が長引く場合は注意が必要です。
- 水痘(みずぼうそう): 前週に注意報レベルを超えましたが、今週は少し落ち着いています。しかし、引き続き今後の動向に注意が必要です。
- A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌): 全体としては減少傾向ですが、一部地域ではまだ流行が続いています。
【感染症別】東京都全体の流行状況
今週の東京都全体の感染症の流行状況(定点あたり報告数)です。
感染症名 | 2025年第25週 | 先週比 |
手足口病 | 0.31 | 増加 |
ヘルパンギーナ | 0.25 | 増加 |
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 | 3.23 | 減少 |
感染性胃腸炎 | 6.38 | 横ばい |
水痘(みずぼうそう) | 0.67 | 減少 |
百日咳 | 278 (報告数) | 増加 |
(出典:東京都感染症週報 2025年第25週)
手足口病とヘルパンギーナが先週から増加しており、本格的な流行期に入ったと考えられます。一方、春先から流行していたA群溶血性レンサ球菌咽頭炎はピークを越え、減少し始めています。
特に注意したい感染症
手足口病・ヘルパンギーナ
手足口病は、その名の通り、手・足・口の中に水ぶくれのような発疹が出るのが特徴の感染症です。ヘルパンギーナは、喉の奥に小さな水ぶくれや口内炎ができて、高い熱が出ることが多いです。どちらもウイルスが原因の夏風邪の一種で、乳幼児を中心に流行します。
今週の報告を見ると、特に八王子市(定点あたり3.18)、町田市(定点あたり1.00)で手足口病の報告数が多くなっています。
これらの感染症は、特別な治療薬はなく、症状を和らげる対症療法が中心となります。口の中の痛みで食事がとりにくくなることがあるため、オレンジジュースなどの刺激が強いものは避け、ゼリーやプリン、冷めたおじやなど、喉ごしの良いものを与えるようにしましょう。
百日咳
百日咳は、「コンコン」という短い咳が連続して出た後、息を吸い込むときに「ヒュー」という笛のような音がするのが特徴的な咳です。特に乳児が感染すると重症化しやすく、肺炎や脳症を引き起こすこともあるため注意が必要です。
今週は278件の報告があり、依然として高いレベルで流行が続いています。年齢別に見ると、5歳から14歳の学童期のお子さんが大半を占めていますが、ワクチン未接種の赤ちゃんにうつしてしまう可能性があるため、家族内での感染対策が重要です。
長引く咳や、特徴的な咳が出ている場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
まとめ
今回は、2025年第25週の東京都の感染症情報についてお伝えしました。
いよいよ夏本番を迎え、手足口病やヘルパンギーナといった夏風邪が流行の中心となってきました。これらの感染症は、手洗いやタオルの共用を避けるなどの基本的な感染対策が有効です。
また、百日咳の流行も続いています。お子さんの咳が長引く場合や、特徴的な咳が見られる場合は、この記事の情報を参考に、かかりつけの小児科医にご相談ください。
来週以降も最新の流行状況に注意しながら、元気に夏を乗り切りましょう。
【東京都感染症情報センター公式サイトでも最新情報をチェックできます】
▶︎ 東京都感染症情報センター
※本記事は東京都感染症情報センター「東京都感染症週報(令和7年6月26日発行)」をもとに作成しています。
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