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はじめに
東京都感染症情報センターが公表した感染症週報(2025年第35週:8月25日〜8月31日)によると、夏休み明けで園や学校の生活が再開し、複数の感染症が増加傾向にあります。特にRSウイルス感染症、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎など小児を中心に報告が増えており、注意が必要です。
主要な感染症の動向
🔹 RSウイルス感染症
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報告数は**317件(定点あたり1.21件)**と前週より大幅増加。
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生後半年未満から乳幼児で目立ち、咳やゼーゼー音、哺乳不良がみられる場合は早期受診が推奨されます。
🔹 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
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報告数**404件(定点あたり1.54件)**で引き続き多い状況。
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強い咽頭痛や発熱が特徴で、抗菌薬による治療が必要になるケースがあります。
🔹 感染性胃腸炎
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報告数**1,126件(定点あたり4.28件)**と高水準を維持。
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嘔吐・下痢による脱水や、家庭内での二次感染が課題です。
🔹 ヘルパンギーナ
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報告数**397件(定点あたり1.51件)**と依然として多く報告あり。
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高熱や口内の痛みによる水分摂取困難が問題になります。
🔹 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
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報告数**1,924件(定点あたり4.63件)**と横ばい傾向。
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家庭内や学校での感染拡大が続いています。
症状別の受診目安
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RSウイルス感染症:呼吸が苦しそう、ゼーゼー音が強い、水分が取れないときは早めに受診。
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溶連菌感染症:のどの強い痛みや発熱、発疹を伴う場合は医療機関へ。
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感染性胃腸炎:水分がとれず尿の回数が減っている、ぐったりしているときは注意。
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ヘルパンギーナ:高熱が続き、水分摂取が難しい場合は受診を。
感染が広がる理由(季節要因)
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夏休み明けの集団生活:園や学校の再開で子ども同士の接触が増え、感染が拡大。
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残暑による体力低下:暑さと疲れで免疫力が落ち、感染症にかかりやすくなる時期。
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高温多湿の環境:ウイルスが長く生存しやすく、胃腸炎などが広がりやすい条件です。
ご家庭でできる予防と対応
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石けんでの手洗いを徹底
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水分補給をこまめに行い、脱水予防
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咳エチケットを習慣づけ、家族内感染を防ぐ
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タオルや食器の共有を避ける
まとめ
第35週は、RSウイルス感染症、溶連菌咽頭炎、感染性胃腸炎、ヘルパンギーナの流行が顕著でした。夏休み明けで感染が広がりやすい時期ですので、家庭や学校での感染対策が欠かせません。体調の変化を見逃さず、必要に応じて小児科を受診してください。
当院でも感染症に関する診療を行っております。お子さまの体調で不安がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
(出典:東京都感染症情報センター「東京都感染症週報 2025年第35週」)