
目次
はじめに
東京都が公表した 第49週(2025年12月1日〜12月7日)感染症週報 によると、前週に続きインフルエンザの報告数は減少しました。
しかし 定点25.17(10,495件) と高い水準であり、例年の同時期を大きく上回る状況が続いています 。
また、感染性胃腸炎(定点6.04) が急増しており、乳幼児から学齢期まで幅広い年代で拡がりが確認されています。
そのほか、溶連菌感染症・百日咳 も高止まりし、冬の感染症流行が本格化しつつあります。
主な感染症の動向(小児科定点)
🔹 インフルエンザ
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報告数 10,495件(定点25.17) と前週(14,947件)から減少。
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依然として過去5年平均を大幅に上回る状態が続く。
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年齢別では 10〜14歳(1,716件) が最多、ついで 5〜9歳の学童に多い。
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病原体検査では AH3亜型の検出が非常に多い。
🔹 感染性胃腸炎
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1,589件(定点6.04) と前週(1,301件)からさらに増加。
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保育園・学校での集団発生が報告され、冬季特有の増加傾向が明瞭。
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病原体検出では ノロウイルスやロタウイルス が確認されている。
🔹 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌)
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663件(定点2.52) と増加。
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年齢別では 5〜9歳が特に多く、喉の痛みや発熱で受診するケースが目立つ。
🔹 RSウイルス感染症
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57件(定点0.22) と横ばい。
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流行ピークは過ぎているが、0歳〜乳児での報告は継続。
🔹 百日咳
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93件(定点0.35) と前週(92件)とほぼ同水準。
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10代を中心に幅広い年代で報告され、長引く咳の患者が増加傾向。
年齢別の特徴
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インフルエンザ:10〜14歳が突出して多い(約1,716件)。
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感染性胃腸炎:1〜4歳が約600件と最も多く、家庭内感染に注意。
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RSウイルス:乳児(特に0〜5ヶ月)で重症化リスクが高い。
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百日咳:全年齢で報告があるが、10代が最も多い。
症状別の受診目安
● インフルエンザが疑われる症状
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38℃以上の高熱が続く
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全身倦怠感が強い
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呼吸が苦しそう、食事量が極端に減っている
● 胃腸炎が疑われる症状
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何度も嘔吐する
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下痢が長引く
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水分が摂れず脱水が心配
● 溶連菌が疑われる症状
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強い喉の痛み
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発熱+発疹(いちご舌など)
● 百日咳を疑う場面
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2週間以上続く咳
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夜間や早朝に激しい咳込みがある
感染が広がる理由(季節要因)
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空気の乾燥によりウイルスが空中で長時間漂いやすい
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暖房で室内が乾燥し、粘膜の防御力が低下
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学校行事や人の移動が多い時期で接触機会が増加
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低気温で体調を崩しやすく、免疫力が低下する
これらの要因が重なり、冬季は複数の感染症が同時に流行しやすくなります。
ご家庭でできる予防と対策
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手洗い・咳エチケットを徹底
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加湿器などで室内湿度を40〜60%に維持
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こまめな換気
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嘔吐物は手袋+次亜塩素酸で処理
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インフルエンザワクチンは早めの接種を
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体調不良時は無理をせず休養をとる
まとめ
第49週の東京都では、
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インフルエンザは減少したが依然高水準
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感染性胃腸炎は前週より大幅に増加
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溶連菌・百日咳も高止まりし、複数感染症が同時流行
12月に入り感染症のピークが続く見込みです。
発熱・嘔吐・咳などの症状が長引く場合は、早めに医療機関へご相談ください。
出典
東京都感染症情報センター『東京都感染症週報 第49週(2025年12月1日〜12月7日)』



