目次
はじめに
東京都感染症情報センターが公表した最新の感染症週報(2025年第36週:9月1日〜9月7日)によると、夏休み明けの学校再開に伴い、子どもを中心に複数の感染症が増加しています。特にRSウイルス感染症、感染性胃腸炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の報告が目立ち、流行の広がりが懸念されます。
主要な感染症の動向
🔹 RSウイルス感染症
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報告数は**359件(定点あたり1.37件)**と前週からさらに増加。
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生後6か月未満から乳幼児で多くみられ、ゼーゼー音や呼吸困難、哺乳不良が出た場合は注意が必要です。
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病原体検出ではRSウイルスB型が確認されています。
🔹 感染性胃腸炎
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報告数**1,280件(定点あたり4.87件)**と高水準を維持。
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家庭内や学校での二次感染が多く、嘔吐・下痢時はタオルや食器を分けることが大切です。
🔹 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
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報告数**441件(定点あたり1.68件)**と増加傾向。
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強いのどの痛みや発熱が特徴で、抗菌薬による治療が必要となる場合があります。
🔹 ヘルパンギーナ
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報告数**370件(定点あたり1.41件)**で依然として報告が多い。
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高熱とのどの痛みにより、水分がとれず脱水になるケースがあります。
🔹 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
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報告数**1,664件(定点あたり3.98件)**とやや減少したものの、依然として流行が継続しています。
症状別の受診目安
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RSウイルス感染症:呼吸が苦しそう、ゼーゼー音が強い、水分が取れないときは受診を。
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感染性胃腸炎:水分がとれない、尿の回数が減っている、ぐったりしている場合は早めに受診。
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溶連菌咽頭炎:のどの強い痛みと発熱が続く場合は医療機関へ。
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高熱が続く場合:3日以上続く、または食欲・元気がない場合は受診を検討。
感染が広がる理由(季節要因)
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新学期の集団生活:学校や園での接触機会が増え、感染が広がりやすくなっています。
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気温差による体調不良:残暑と朝晩の涼しさの差で体力が落ちやすい時期です。
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ウイルスの季節性:RSウイルスや胃腸炎は秋口にも流行しやすく、家庭や園での感染を繰り返しやすい傾向があります。
ご家庭でできる予防と対応
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手洗い・うがいを徹底する
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嘔吐・下痢時はタオル・衣類を分けて洗濯
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水分補給をこまめに行い、脱水予防
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症状が出た場合は無理に登園・登校せず、休養をとる
まとめ
第36週は、RSウイルス感染症と感染性胃腸炎の増加が目立ちました。新学期の始まりは子ども同士の接触が増えるため、感染症が広がりやすい時期です。体調の変化を見逃さず、早めの受診を心がけましょう。
当院でも流行中の感染症に対応した診療を行っています。気になる症状があればお気軽にご相談ください。
(出典:東京都感染症情報センター「東京都感染症週報 2025年第36週」)