
赤ちゃんの健康を守るために、哺乳瓶は使用前にしっかり洗浄・消毒しましょう。厚生労働省のガイドラインでも「使用前に哺乳瓶などの器具を徹底的に洗浄・滅菌することが重要」と指摘されています。消毒の前には、まず石鹸と水でよく洗い、目に見える汚れを落としてから始めましょう。以下では、家庭でできる3つの消毒方法(煮沸、薬液、電子レンジ)について、それぞれ手順とメリット・デメリット、注意点を紹介します。
🔥 煮沸消毒(鍋で煮る方法)
煮沸消毒は、洗浄後の哺乳瓶を鍋で熱湯に浸し、しっかり沸騰させる古典的かつ効果的な方法です。厚労省の指針でも「哺乳瓶を水に完全に浸し、蓋をして沸騰させる」方法が推奨されています。
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手順:
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大きめの鍋に水をたっぷり入れ、洗った哺乳瓶(ビン、乳首、キャップ)を完全に沈めます。空気が入らないようしっかり押し込みましょう。
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鍋に蓋をして強火にかけ、沸騰させます。水が完全に蒸発してしまわないよう注意しながら、ガラス製のビンなら約5〜10分ほど煮沸します(樹脂製は製品表示に従いましょう)。
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火を止め、蓋をしたまま湯が冷めるまで待ちます。使用直前まで蓋をしておけば再汚染を防げます。
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メリット: 煮沸消毒は熱湯で多くの菌を確実に死滅させることができ、専用器具がなくても手軽にできます。また、薬品を使わないため哺乳瓶に化学物質が残りません。
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デメリット・注意点: やけどに注意が必要です。沸騰中は湯が噴きこぼれたり蒸発したりしないよう目を離さず、水量を確認しましょう。高温なので、熱に弱いゴム部品やビンが変形しないよう、長時間煮過ぎないようにします。取り出すときは火傷しないように注意し、滅菌後は手を洗って清潔に保管します。
🧴 薬液消毒(消毒液につける方法)
薬液消毒では、市販の哺乳瓶専用消毒剤(例:ミルトンなど)を使用します。基本的に洗浄後の哺乳瓶を、水に溶かした消毒液に浸して一定時間待つだけなので手軽です。
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手順:
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指示通りの量の消毒剤を水に溶かして消毒液を作ります(水量や濃度は製品に従いましょう)。
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洗った哺乳瓶のビン・乳首・キャップを消毒液に完全に浸し、気泡が入らないようにします。1時間以上つけ置きすれば殺菌できます。
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規定時間経ったら哺乳瓶を取り出し、水道水でよくすすぎます。消毒液をしっかり落とすことが大切です。その後、清潔な場所で自然乾燥させましょう。
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メリット: 沸騰が不要なので、手間が少なく、火を使わないため安全です。プラスチック製品へのダメージが少なく、まとめて消毒できるので便利です。
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デメリット・注意点: 消毒には30分~1時間ほど時間がかかるため、手早さはやや劣ります。専用の消毒液を購入するコストがかかります。また、薬液の取り扱いに注意が必要です。例えば、次亜塩素酸を使う薬液は漂白作用があり、衣服や哺乳瓶の目盛・模様が変色することがあります。酸性の洗剤と混ざると有毒ガスが発生する危険があるので、他の洗剤と混ぜないようにしましょう。ゴム製乳首は薬液が変質の原因となることがあるため、必要最小限の時間(1時間程度)だけつけるのがおすすめです。また、薬液は誤飲すると危険なので、小さなお子さんの手の届かないところで使い、使用後はなるべく早く新しい溶液に交換してください。
⚡ 電子レンジ消毒(スチーム消毒)
電子レンジ消毒は、専用の容器やバッグに水と哺乳瓶を入れ、電子レンジで加熱する方法です。短時間で手軽にできる一方、使い方に注意が必要です。
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手順:
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哺乳瓶用の電子レンジ消毒ケースや使い捨てバッグに、水と洗浄済みの哺乳瓶を入れます。中に空気が残らないように注意します。
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電子レンジ500W~700Wで3~5分ほど加熱します。高温の蒸気で消毒されるので、加熱中は電子レンジから目を離さないでください。
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加熱が終わったら、電子レンジ内でしばらく蒸らし(冷ます)ます。蒸気で火傷しないよう注意し、冷めてから取り出しましょう。
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メリット: 消毒にかかる時間が短く(数分程度)、手軽にできます。電気代も少なく、一度に複数本を処理できます。
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デメリット・注意点: 電子レンジ消毒には十分な注意が必要です。日本電機工業会(JEMA)は電子レンジを「調理以外の目的に使用しない」よう注意喚起しており、哺乳瓶の消毒も事故(発火・爆発・やけどなど)の原因になり得るとされています。実際、電子レンジでは加熱ムラが生じやすく、熱い部分(ホットスポット)ができて火傷の危険もあります。必ず電子レンジ消毒用の容器や袋を使い、取扱説明書の指示に従ってください。また、金属製の部品は使用できません。加熱後はすぐに取り出さず、蒸気でやけどしないように十分冷ましてから取り扱ってください。
💡 その他の注意点
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手洗い・取り扱い: 消毒前後は必ず石鹸で手を洗いましょう。滅菌済みの哺乳瓶は、清潔なトングなどで触ると安心です。
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保管方法: 消毒した哺乳瓶は、使う直前まで蓋をして清潔に保管しましょう。再汚染を防ぐため、消毒後はなるべく早く使用するか、乾燥した清潔な容器に入れて保管します。
以上の方法を参考に、お手持ちの環境や哺乳瓶の材質に合った消毒法を選んでくださいね😊。消毒後の哺乳瓶は口に入るものなので、丁寧に取り扱い、安全にお使いください。
参考資料:
厚生労働省「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/000601757.pdf
東京都健康安全研究センター「哺乳びんの消毒・殺菌について」
https://www.tokyo-eiken.go.jp/files/kansensho/hahubink_syoudo.pdf
日本電機工業会(JEMA)「電子レンジの注意喚起」
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/microwave/attention.html
東京都生活文化局「電子レンジによる事故に注意」
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/kiki/range.html
東京都福祉保健局「哺乳びん・乳首の消毒」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/ikuji/hojubin.html