離乳食を始めて湿疹が出た、口の周りが赤くなったというきっかけから、「アレルギー検査を受けたほうがよいのでは」と心配されるご家族は少なくありません。

多摩市一ノ宮(聖蹟)のせいせきこどもクリニックが、子どもの食物アレルギー検査について分かりやすく解説します。

まず、検査の数値だけでは、食物アレルギーの診断はできません。

血液検査で「反応あり」と出ても、実際には食べられることがあります。逆に、数値が低くても症状が出ることがあります。診断は、検査の結果と、実際に食べたときの症状を合わせて行うものです。

そして、当院には検査についての方針があります。

一度に多くのアレルゲンを調べる「VIEW39」「MAST36」「MAST48mix」などの血液スクリーニング検査は、実際には食べられるのに陽性と出てしまう「偽陽性」が起きやすく、本当に確認したい項目が含まれていない場合もあるため、当院では採用していません。そのかわりに、それぞれの患者さんに合わせてアレルゲン項目を選択し、より精度の高い検査を行っています。

以下は一般的な整理です。

お子さまの状態によって判断が変わりますので、詳しくは診察でご確認ください。


食物アレルギーとは、どんな状態か

食物アレルギーとは、どんな状態か

食物アレルギーは、特定の食物を摂取することによって、皮膚のかゆみやじんましん、咳やゼーゼー、腹痛、嘔吐などの症状を引き起こします。

日常の食生活に直接関わる疾患であり、症状は軽度な皮膚の赤みから、アナフィラキシー(急激に発症する重篤なアレルギー反応)のような生命に関わる危険な状態まで様々です。

原因食品には、年齢による傾向があります。

乳児期から幼児期にかけては、鶏卵、牛乳、小麦に反応することが多く、成長するにつれてエビやカニ、そば、落花生、果物類などのアレルギーが増えてきます。


検査には3種類ある

当院で扱っている検査を整理します。

① 血液検査

血液を採って、特定のアレルゲンに対する反応を調べます。

当院では、それぞれの患者さんに合わせてアレルゲン項目を選択し、より精度の高い検査を行っています。

② プリックテスト(皮膚テスト)

アレルゲンの試薬を皮膚に1滴のせて、専用の針を皮膚の表面に押し当てる検査です。

アレルギーがあると、15分くらいしてぷくっと赤くはれてきます。

この検査には、痛みを伴う採血の必要がなく、乳幼児からあらゆる年齢で安全に行えるという大きなメリットがあります。

③ 経口負荷試験

原因と思われる食物を、実際に食べてみる検査です。

皮膚テストや血液検査よりも正確に判断できる一方で、強いアレルギー症状(アナフィラキシー)を引き起こすリスクもあります。

そのため、当院では次のように進めます。

リスクの低い方は当院で摂取していただき、リスクの高い方は、東京都立多摩南部地域病院や東京都立小児総合医療センターと連携し、入院の上で検査することも検討します。


なぜ「一括で調べる検査」を勧めないのか

なぜ「一括で調べる検査」を勧めないのか

「39項目まとめて調べられる」と聞くと、便利に思えます。

しかしここが、誤解の入り口になります。

理由は3つです。

① 偽陽性(実際には食べられるのに陽性と出ること)が起きやすい

一括で調べる検査は簡易的である一方、交差反応などにより「実際は食べられるのに陽性と反応してしまう(偽陽性)」リスクが高く、数値の信頼性にばらつきが生じやすい点があげられます。

② 必要な項目が含まれていないことがある

決まった組み合わせで調べる検査ですので、いま知りたいものが入っていないことがあります。その場合、結局あらためて調べ直すことになります。

③ 「反応あり」の項目が、そのまま除去につながりやすい

これが、いちばん避けたい流れです。

数値が高いというだけで食べるのをやめてしまうと、本来食べられたはずのものまで除去することになります。

食物アレルギーの場合、アレルギーの可能性がある食物をむやみに除去することは適切ではありません。現在は食べられなくても、徐々に食べられるようになる場合もあります。過度な除去は、栄養の偏りを招き、生活の質を下げてしまう可能性もあります。

つまり、根拠なく「調べすぎてしまうこと」が、かえって不要な不安や不必要な食事制限を生み、お子さまの健やかな成長にとってマイナスになる場合があるのです。


検査で分かること・分からないこと

分かること

  • そのアレルゲンに対して、体が反応する準備があるかどうか
  • 反応の強さの、おおよその目安
  • 時間をおいて調べ直したときの、数値の変化

分からないこと

  • 実際に食べたときに、症状が出るかどうか
  • どのくらいの量まで食べられるか
  • 将来、食べられるようになるかどうか

この「分からないこと」を埋めるのが、経口負荷試験です。

経口負荷試験を行うことで、これらの疑問を解消できます。

そして、診断には症状の経過が欠かせません。

「何を、どれだけ食べて、どのくらいの時間で、どんな症状が出たか」——これが、検査の数値と同じくらい重要な情報になります。


こんな症状があればご相談ください

こんな症状があればご相談ください

当院では、次のような症状があればご相談いただくようお伝えしています。

  • 「はじめて食べたもので湿疹が出た」
  • 「口や体をかゆがる」
  • 「いつも嘔吐してしまう」
  • 「血便が出る」

とくに、離乳食を始めて症状が頻繁に出る場合は、一度ご来院をおすすめします。

また、次の症状は急を要します。

すぐに受診してください。

  • 顔色が悪い、ぐったりする
  • 呼吸が苦しそう、ゼーゼーする
  • 繰り返し吐く
  • 全身にじんましんが広がる
  • 声がかすれる、飲み込みにくそう

これらは、アナフィラキシーの可能性があります。


診察のときに、伝えていただきたいこと

検査の前に、次の情報があると精度が上がります。

① 何を食べたか

食品名だけでなく、加工品であれば原材料も分かると理想的です。

② どれくらい食べたか

ひとくちなのか、量を食べたのか。

③ どのくらいの時間で症状が出たか

食べてすぐか、数時間後か。

④ どんな症状が出たか

皮膚、消化器、呼吸——出た場所と内容。

⑤ そのとき、他に何かあったか

運動していた、体調が悪かった、はじめての食材だった、など。

⑥ 症状が出ているときの画像・写真

症状は時間とともに消えていきます。

症状が出ているときにスマートフォンなどで撮影しておくと、撮影日時も記録され、診察時の重要な情報となります。

当院ではWEB問診を導入しています。

事前に入力していただくことで、当日の確認をスムーズに進められます。


診断がついたあと、どうするのか

治療の基本は、次のとおりです。

食物アレルギーの治療は、アレルギーの原因である「アレルゲン」を調べ、最小限の食物除去を行い、安全を確保しながら必要な栄養を摂取していくことが基本となります。

ここで大事なのは、「最小限」という言葉です。

不必要な食物除去を続けると、かえって体に耐性がつく(自然に食べられるようになる)のを遅らせてしまうおそれがあります。

そして、アナフィラキシーを起こす可能性がある場合には、アドレナリン自己注射(エピペン)を処方し、アナフィラキシー対策を家庭、学校、園を含めて考えていきます。

「家庭だけで完結する話ではない」という点も、あわせてお考えください。


「念のため調べておく」を考え直す

検査を希望される理由として多いのが、「念のため」です。

「念のため」が有効な場面

  • すでに症状が出ていて、原因を絞りたい
  • アナフィラキシーを起こしたことがあり、対策を立てたい
  • きょうだいに強い食物アレルギーがあり、進め方を相談したい

「念のため」が裏目に出やすい場面

  • 症状は出ていないが、心配だから全部調べたい
  • 離乳食を始める前に、安全なものを知っておきたい

後者が難しいのは、次の理由によります。

症状が出ていない状態で数値だけを見ても、「食べたらどうなるか」は分かりません。そして、数値が高い項目が出れば、食べさせるのが怖くなります。

その結果、本来食べられたはずのものを避けることになれば、栄養の偏りを招き、生活の質を下げてしまう可能性があります。

離乳食の進め方でご不安がある場合は、検査の前に、進め方そのものをご相談ください。当院は小児科診療を専門としたクリニックです。成長や発達、離乳食のご相談にも対応しています。


検査を受ける前に、決めておくこと

「検査を受けて、その結果をどう使うのか」を先に決めておくと、迷いが減ります。

① 何を知りたいのか

「この食材を食べさせてよいか」なのか、「症状の原因は何か」なのか。目的によって、選ぶ検査が変わります。

② 結果が出たら、次に何をするのか

陽性が出た場合に、医師の指導のもとで慎重に少しずつ試すのか、経口負荷試験へ進むのか。方針をイメージせずに検査だけを受けると、数値の結果に振り回されてしまいます。

③ 誰と共有するのか

保育園や学校、預け先など、お子さまに関わる周囲の方々とスムーズに情報共有できるよう準備しておきましょう。

当院では、こうした進め方も含めてご相談を承っています。

「検査を受けるべきかどうか」という段階から、お気軽にお越しください。


小児のアレルギーは、つながっている

当院では、小児期のアレルギーを一連の流れとして捉えています。

小児期に発症するアレルギーは、多くは赤ちゃんの乳児湿疹にはじまり、離乳食を開始するころからは食物アレルギーやアトピー性皮膚炎がみられるようになります。生後6か月ころでは、ゼーゼー・ヒューヒューを反復する喘鳴を認める気管支喘息が出現することもあります。小学校入学のころからは、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎などが増加してきます。

アレルギーを起こしやすい体質(アトピー素因)を持ったお子さまに、これらのアレルギーが次々と現れる現象をアレルギー・マーチと呼びます。この場合、一連の流れとしての診療が大切になります。

アレルギー疾患は、原因物質となるアレルゲンを正確に特定することが第一歩です。それぞれの疾患を、検査や臨床症状に基づいて正しく診断し、適切なケアと治療を行うことで、現在かかっている疾患の悪化を抑えることができ、さらには新たなアレルギーの発症予防にもつながります。


よくある質問

Q. 何歳から検査を受けられますか。

A. プリックテストは、採血の必要はなく、乳幼児からすべての年齢で行えます。血液検査については、お子さまの状態を見たうえで判断します。

Q. 検査で「陽性」と出たら、食べさせないほうがよいですか。

A. 数値だけでは判断できません。

勝手な食物除去は栄養バランスの偏りにつながる恐れがあります。自己判断で除去を始めず、ご相談ください。

Q. 一度陽性だったものは、ずっと食べられないのですか。

A. 現在は食べられなくても、徐々に食べられるようになる場合もあります。経過を見ながら判断していきます。

Q. 検査は痛くありませんか。

A. プリックテストは、皮膚の表面に専用の針を押し当てる検査です。採血は不要です。血液検査を行う場合は採血が必要になります。

Q. 家でアレルギー検査キットを使ってもよいですか。

A. 検査の結果だけでは診断ができません。症状の経過とあわせて判断する必要がありますので、診察でご相談いただくことをおすすめします。

Q. 保育園に提出する書類を書いてもらえますか。

A. 診断がついている場合、必要な書類についてご相談ください。アナフィラキシー対策は、家庭、学校、園を含めて考えていきます。

Q. きょうだいに食物アレルギーがあります。下の子も調べたほうがよいですか。

A. 症状が出ていない段階で数値だけを調べても、「食べたらどうなるか」は分かりません。離乳食の進め方を含め、不安な点があれば検査前にお気軽にご相談ください。

Q. 検査の結果は、その日に分かりますか。

A. 検査の種類によって異なります。プリックテストは15分くらいで判定できます。血液検査は結果が出るまでお時間をいただきます。


せいせきこどもクリニックでできること

せいせきこどもクリニックでできること

当院は、多摩市一ノ宮(聖蹟)の小児科・小児アレルギー科です。

  • 患者さんごとに項目を選ぶ検査 — 一度に多くの項目を調べる検査は行わず、患者さんに合わせてアレルゲン項目を選択し、より精度の高い検査を行います
  • プリックテストに対応 — 採血の必要はなく、乳幼児からすべての年齢で行えます
  • 経口負荷試験 — リスクの低い方は当院で、リスクの高い方は拠点病院と連携し入院の上での検査も検討します
  • エピペンの処方と対策 — アナフィラキシーの可能性がある場合、家庭・学校・園を含めて対策を考えます
  • 一連の流れとしての診療 — アレルギー・マーチという考え方に基づき、新たなアレルギーの発症予防にもつなげます
  • 土曜日・日曜日も診療 — 平日忙しいご家族のために、土日も診療しています
  • 拠点病院と連携 — 東京都立小児総合医療センターや東京都立多摩南部地域病院と連携しています

診療時間は8:30〜12:30(月・水・木・金・土・日)と14:30〜18:00(水・木・金・土・日)です。

火曜・祝日は休診です。

受付終了時間は午前が12:15、午後は17:45です。


まとめ

  • 検査の数値だけでは、食物アレルギーの診断はできない。症状の経過と合わせて判断する
  • 当院は「VIEW39」「MAST36」「MAST48mix」などの一括検査は行っていない。誤差が大きいことがあり、必要な項目が含まれていないこともあるためだ
  • その代わりに、患者さんごとにアレルゲン項目を選択して精度の高い検査を行う
  • 検査は3種類。血液検査/プリックテスト/経口負荷試験
  • プリックテストは採血不要で、乳幼児からすべての年齢で行える。15分くらいで判定できる
  • 経口負荷試験がもっとも正確だが、アナフィラキシーのリスクがある。リスクが高い場合は拠点病院と連携し入院の上での検査も検討
  • 原因食品は年齢で変わる。乳児期から幼児期は鶏卵・牛乳・小麦が多く、成長とともにエビ・カニ・そば・落花生・果物類が増える
  • むやみな除去は適切ではない。現在は食べられなくても、徐々に食べられるようになる場合もある
  • 過度な除去は、栄養の偏りを招き、生活の質を下げてしまう可能性がある
  • 治療の基本は、最小限の食物除去を行い、安全を確保しながら必要な栄養を摂取すること
  • 顔色不良・呼吸が苦しい・繰り返す嘔吐・全身のじんましんがある場合はすぐに受診する

お子さまの食物アレルギーが心配な方は、多摩市一ノ宮(聖蹟)のせいせきこどもクリニックにご相談ください。

監修者情報

せいせきこどもクリニック 院長 松本 崇宏(まつもと たかひろ)

せいせきこどもクリニック

院長 松本 崇宏(まつもと たかひろ)

多摩市一ノ宮で、地域の子どもたちの「かかりつけ医」として、風邪から健康診断、アレルギーまで幅広く診療しています。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものです。適した検査、診断、必要な対応は、お子さまの状態によって異なり、個人差があります。自己判断で食物の除去を始めず、診察でご相談ください。

参考文献